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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)705号 判決

本籍

兵庫県姫路市白浜町甲五六七番地

住居

大阪市西区九条南三丁目一四番地の一〇

ボールトナツト製造販売業

網田鶴松

明治四三年三月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について検察官佐々木信幸出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役七月および罰金九〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から一年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人が右罰金を完納できないときは金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

当裁判所の認定した罪となるべき事実は起訴状に記載された公訴事実と同一であるからここにこれを引用する。

(証拠)

一、被告人の当公判廷における供述

一、西税務署長作成の証明書三通(いずれも被告人作成の所得税申告書の写の添付されたもの)

一、田中僥、矢野道夫、新宅盛武、安本晴夫、宮川勲作成の証認書各一通

一、宮川勲作成の供述書

一、渡辺喜作の収税官吏に対する質問てん末書、検察官に対する供述調書各一通

一、戌刻徳子の収税官吏に対する質問てん末書、検察官に対する供述調書各一通

一、収税官吏大蔵事務官作成の調査書計八通

一、吉田央作成の確認書

一、浦上志郎の収税官吏に対する質問てん末書

一、金村哲夫作成の供述書

一、上島勝作成の確認書

一、新井正孝、山本稔、宮川房吉、横山厳、浜口唯夫、石井正夫、広闘信一、木村緊樹作成の供述調書各一通

一、二谷康作成の確認書

一、収税官吏作成の差押てん末書、領置てん末書各三通

一、押収にかかる昭和四二年決算資料一綴(昭和46年押第647号の一)、決算書綴一綴(同号の二)、昭和四三年決算資料一綴(同号の三)、昭和四四年決算資料一綴(同号の四)、昭和四三年分納品明細書控四綴(同号の五)、同四綴(同号の六)、同四綴(同号の七)、昭和四四年分納品明細書控二綴(同号の八)、同四綴(同号の九)、同七綴(同号の一〇)、昭和四一年一二月から同四四年九月まで集金支払帳一綴(同号の一一)、昭和四四年一〇月から同四五年一月まで集金支払帳一綴(同号の一二)、昭和四二年一月から昭和四四年一月まで仕入先台帳一綴(同号の一三)、昭和四三年一月から同月一二月まで領収証一綴(同号の一四)、昭和四四年一月から同年一二月まで領収証一綴(同号の一五)、仕入帳一綴(同号の一六)、領収書請求書一綴(同号の一七)、昭和四二年分領収証請求書一綴(同号の一八)、昭和四三年分領収証請求書一綴(同号の一九)、昭和四四年分領収証請求書一綴(同号の二〇)、昭和四三年六月二八日から昭和四五年一月二一日までの領収書綴(同号の二一)、昭和四四年四月二二日から同年一一月二〇日まで領収証一綴(同号の二二)

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書二通、検察官に対する供述調書四通

一、被告人の当公判廷における供述

(法令の適用)

犯罪事実につきそれぞれ

所得税法二三八条一項(それぞれ懲役刑と罰金刑とを併科)

懲役刑について併合罪加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い起訴状公訴事実第三の罪の刑に加重)

罰金刑の併科と合算

罰法四五条前段、四八条一項、二項

懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

労役場留置につき

刑法一八条

(裁判官 石川哲男)

公訴事実

被告人は、大阪市西区九条南三丁目一四番地の一〇において、網田商店の商号でボールト・ナツトの製造および販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四二年分の所得金額が五二、二一七、八六八円、これに対する所得税額が三〇、一四三、二〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上の一部、手形割引料収入などを除外する等の不正な方法により、右所得金額中三〇、八五七、〇四一円を秘匿したうえ、昭和四三年三月一五日大阪市西区所在西税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が二一、三六〇、八二七円、これに対する所得税額が一〇、一八九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税一九、九五三、四〇〇円を免れ、

第二、昭和四三年分の所得金額が四八、三〇〇、九〇四円、これに対する所得税額が二七、〇六七、九〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上の一部、手形割引料収入などを除外し、かつ架空仕入を計上する等の不正な方法により、右所得金額中二八、四六四、六七三円を秘匿したうえ、昭和四四年三月一五日前記西税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が一九、八三六、二三一円、これに対する所得税額が九、二九三、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税一七、七七四、二〇〇円を免れ、

第三、昭和四四年分の所得金額が五四、三二一、四九八円、これに対する所得税額が三一、四五六、七〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中三一、六五一、七一五円を秘匿したうえ、昭和四五年三月一六日前記西税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が二二、六六九、七八三円、これに対する所得税額が一〇、八二三、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税二〇、六三三、二〇〇円を免れ

たものである。

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